ラジオ出演とその内容
NHKラジオ第1「ラジオあさいちばん」出演
2005年11月23日午前7時45分からの首都情報「在京三宅島会発足~帰れぬ島民の連携を目指して~三宅島ふるさと再生ネットワーク代表の佐藤就之さんに伺う」に出演しました。
遠田 ありがとうございました。時刻は間もなく7時45分になります。首都圏情報です。ことし2月に避難指示が解除された三宅島には、およそ2,100人の島民が戻ってきています。しかし、今なお火山ガスの影響で住むことが禁止されている地域の人たちや、健康上の不安を抱える人たちなど、およそ1,000人が島に戻れないままです。
こうした中、島に戻れない人たち同士の近況を確認し合い、またお互い助け合うための会、「在京・三宅島噴火被災者連絡会」が今月20日に結成されました。島に戻れない人たちの現状、そして会の今後の活動などについて、会の設立に携わりました「三宅島ふるさと再生ネットワーク」会長の佐藤就之さんにお話を伺います。
佐藤さん、おはようございます。
佐藤 おはようございます。
遠田 三宅島の避難指示が解除されてから8カ月余りがたちますけれども、まだ1,000人近くの方たちが島に戻っていないということなんですけれど、皆さん島に戻れないさまざまな理由を抱えていらっしゃるのでしょうか。
佐藤 そうですね。まず、火山ガスの放出の影響を受けて帰れないでいます。次に、災害弱者と言われている子供たちも30%から40%は帰っていません。そのために親子が分離をして二重生活をしているという状態が1つですね。
あと、高齢者と、島の特養ホームがまだ再建されていませんから、こういう人たちが帰れないでいる。それから、体の悪い方が病院に通うために帰れません。そして、家屋被害があまりにも多いために修繕費がかかるということで、帰島を断念した人たちもいるわけですね。こういう人たちがまだ、1,000人の人たちがいるわけです。
遠田 そうした中、今月の20日に「在京・三宅島噴火被災者連絡会」が発足したわけなんですけれども、この会を立ち上げたのはどういったことからだったんでしょうか。
佐藤 今お話ししましたように、帰島できない人たちがまだ噴火被災者として残っているわけですね。深刻な問題をみんな抱えております。したがいまして、バラバラになってしまったのではお互いに助け合うこともできませんので、今度7月末で住宅の支援も打ち切られました。そしてそのためにまたバラバラになってしまったんですね。
そういった人たちの近況を知って、島の情報、そういうものを知らせてお互いに助け合っていきたいと、そういうことで立ち上げたところです。
遠田 実際島に戻れずにいる皆さんというのは、今どういったご苦労とか不安を抱えていらっしゃるのでしょうか。
佐藤 特にまだ家屋とか財産も全部残ったままですので、島の状況がわからないと本当に不安なんです。なおかつ村のほうの動きもほとんどわかりませんから、情報不足という問題が一番大きな問題になっています。
遠田 なかなか伝わってこないということなんですね。
佐藤 それからあと、知り合いがバラバラになったために、今までは電話で話したり会ったりすることはできたんですが、孤独になって非常にストレスがたまっている状態がまた生まれているということです。
もう1つは健康面、それから経済面も、特に前は、避難中は島に帰るときに船賃の支援もあったんですが、そういうのも全部打ち切られましたので、こちらで家賃を払って、なお、島のおうちを直して、帰るために直さなければいけないということで二重の負担になりまして、大変出費が多くなって大変だという声がよく聞かれます。
遠田 経済的な問題も深刻だということなんですね。孤立化というお話がありましたけれども、今、島の皆さんがどこにいるのかという、そういう状況がすべて把握できていないということなんですか。
佐藤 そうなんです。120ちょっとは都営住宅に、籍を東京都に移して島から離れて入居したのですが、あとの方はみんなほとんどバラバラになってしまったんですね。それでどこにだれがいるかわからないという状態なんです。
遠田 それを追跡していくのもなかなかままならないということなんですね。
佐藤 はい。私たちも50回以上にわたってそれぞれ訪問をして、どこにだれがいるかということを手繰り寄せているという状態ですね。
遠田 そうした中で会ではこれからどういった取り組みを具体的に進めていこうとお考えなんでしょうか。
佐藤 一番要望の強いのは電話帳ですね。これを早くつくって、高齢者が多いものですから出歩くこともままならないので電話で話をしたいと。中には島の電話帳も1回とまってしまいましたから、島のこともわからないということで、こちらに残っている方の電話帳づくりが一番大事だと思っています。
遠田 それはそのまま名簿にもなりますよね。
佐藤 あと、やっぱりお互いに顔をあわせて話し合っていくということで、もう一度きちっとしたコミュニティをつくっていかなければいけないと思っております。
あと4月以降避難をしてまだ帰れないでいる人たちが、デイサービスの話ですと、避難先で3人ほどの方が孤独死になっているのではないかという話もあります。したがいまして、本当に災害地によくある、バラバラになったためにどうなったかわからないという不安な問題を解決しなければいけないなと思っています。
遠田 やっぱり顔を合わせるだけで力になるということは大きいですものね。
佐藤 きのうも実は立川とか八王子のほうへ行ってきたのですが、会いますとみんな目に涙を浮かべて話し合ってくれるんですね。そういうことをできるボランティアの人たちも、今、私たちネットワークのほうで募集をしておりまして、なるだけ近くの人が近くの島民のところにお訪ねができるような体制をつくりたいと、そう思っています。
今、高校生の人なんかも含めまして、非常に三宅島は長く避難したものですから、それのおつき合いの延長で、ぜひ三宅島の島民のケアを含めて、ボランティアで参加をしたいという方も多くおりまして、そういう人たちをもう一度お願いして、まだ三宅島は被災地なんだということで、被災者支援のご努力をいただきたいと思って呼びかけているところであります。
遠田 きょうこのラジオをお聞きの皆さんで島の方、ぜひご連絡をいただきたいですね。
佐藤 ぜひそうお願いをします。それから本当に皆さん知り合って、島の状況も知りたい、内地での生活も知りたいと思っている人が本当に多くおりますから、ぜひ、三宅島の人でこういう人がいるよなんてことも含めまして、島の人だけではなくて近所の方ももし連絡していただければ、こちらから訪ねて行きますのでご連絡をお願いしたいなと思っております。
遠田 けさはお忙しいところありがとうございました。
佐藤 どうもよろしくお願いいたします。
遠田 「三宅島ふるさと再生ネットワーク」会長の佐藤就之さんに伺いしました。今のお話にもありました在京の三宅島の皆さんの連絡先、あるいはボランティアについてのお問い合わせは佐藤さんまでお願いします。電話番号です。090-4922-0798です。首都圏情報でした。